伝えたい「蔵」の記憶(427)北大通伊藤商店
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2022.8.29
北大通商店街は、昭和36年に始まった都市改造事業の進展により軒並み改築、高層化を競い、北大通1丁目から13丁目までの880㍍は、「衣料品を中心に電気、貴金属などの147店の小売店が軒を連ね、商店街は大きく変わった」と同44年11月29日の釧路新聞に掲載された記事「苦悩する北大通」の中で伝えられています。

写真は、戦災を免れた北大通5丁目西側、戦前の名残を伝える店舗の伊藤商店と大きな看板のヤスモト金物店です。伊藤果物店は、明治34年11月9日創業で、「米、雑貨、酒、石油、みそを扱った」と釧路新聞わがマチの人物地図に記述されている老舗です。
この北大通5丁目は、昭和5年に開店した道東で最初のデパートである丸三鶴屋、明治42年創業の中山茶紙店、同38年創業の小松金物店、大正12年創業のヤマボシ斎藤呉服店などの老舗が軒を連ねる、戦前からの北大通商店街の中核商店街でした。北大通5丁目東側は昭和20年の釧路空襲に被災しましたが、西側は免れ、その伊藤商店は、戦前からの米穀店から昭和24年には果物店に切り替えます。
伊藤商店は、釧路白糠間に初めて鉄道が開通した黎明期の西幣舞(現北大通)、昭和5年の丸三鶴屋の開店のにぎわい、店頭から商品が消えて商店街が疲弊した戦前の統制時代、苦難の戦後復興期、活況を呈する躍進青年都市と北大通商店街の多くの記憶を伝えています。




