HEAT VOICEミュージックヒストリー⑤「ヒートボイス、学び多き軽井沢を経て」
ヒートボイス(目黒広幸、伊藤カズヒロ)は2004年から2007年にかけて軽井沢ラヴソング・アウォードに出品し、最高位3位を含む、4年連続での本選出場という快挙を成し遂げた。
釧路から遠征しての全国大会とも言える大舞台での躍進は、2人に新たな指針と可能性を示した。
釧路発の活動が大きな舞台へ
ヒートボイスが1995年の結成時から掲げている「釧路から全国・世界へ」の風が全国に吹き始めた。
2006年3月、フジテレビの情報番組「めざましどようび」の「めざうたコンペ」コーナーの取材を釧路市内で受け、全国放送された。
めざましテレビのテーマソング公募にオリジナル曲「スタートだい!!」を応募したのが端緒となった。

「スタートだい!!」はさわやかな朝、一日の始まりを想起させるポップな楽曲。応募総数1770曲の中から、テーマソングには採用されなかったが、数曲しか選ばれない上位入選を果たした。
結果として、ヒートボイスの地域密着型の音楽活動に関心を示したフジテレビが、番組内で特集を組んだ。
2006年3月16日付の釧路新聞で、伊藤さんは「『めざましテレビ』のために作った曲ではないと言付けて応募しました。まさか、全国放送で取り上げられるなんて」と興奮気味に話していた。
着うたで広がった新たな可能性
同時期、着うたサイト「music.jp」から着うた・着うたフルの配信も始まった。軽井沢ラヴソング・アウォードで審査員を務めたレコード・プロデューサーの下河辺晴三氏の仲介で、東京都内のIT企業とつながり、実現した。
配信第1弾は「☆(ほし)に願いを」「スタートだい!!」「あしたへ」「抱きしめたい」の4曲。中でも、「☆に願いを」は、下河辺氏がヒートボイスに出会って、ほれ込んだ思い出の曲だ。

着うた・着うたフルは、携帯電話3社の「EZウェブ」「ボーダフォンライブ!」「iモード」からアクセスして、1曲105円でダウンロードするという仕組み。
ヒートボイスは着うた・着うたフルが隆盛だった2010年までに、「ぼくらのくしろ」「エール」などを追加、18曲を配信した。
軽井沢で得た「地元から発信する」という指針
軽井沢ラヴソング・アウォードで、一貫してヒートボイスを支持した下河辺氏。親交を深める中で、当時の音楽業界を「氷河期。CDが売れない時代。音楽をやるなら中央、東京へという時代はもう終わった」と持論を展開した。
さらに、ヒートボイスのこれからについては「新たな方法で、地元からどんどん音楽を全国へ発信していってください」と激励した。

「一昔前、ヒートボイスの楽曲を有料で着信音にしたというエピソードを聞くと、気持ちが温かくなります」と伊藤さん。
大容量通信が一般的となり、無料で幅広い音楽を楽しめる令和の時代にあっては、平成の着うた・着うたフルは高額と言わざるを得ない。
すでに、サービスの手法は切り替わったが、あの頃の“最先端”はヒートボイスに、少なからぬ刺激を与えたのは間違いない。
(編集部:山本雅之)
次回は8月10日の掲載予定になります




