ザンギ界の釧路代表選手!?「ザンタレ」誕生秘話とその魅力
「ザンタレ」とは何か。発祥の店にいざ!

数ある釧路名物の中でトップ5に入るであろう「ザンタレ」。ザンタレとは、世間一般でいう「からあげ」の北海道版・ザンギにタレをかけたものと思っていただいて大きく間違いはない(異論は認める)。
「そもそもザンギとは何か」という論戦は今回ズバッと飛ばし、ザンタレ発祥の店として名高い「西洋堂 南蛮酊(なんばんてい)」に名物誕生のエピソードを聞いてきた。
時は1979年、釧路の中心街に本格的な洋食を提供する店が開店した。それが「南蛮酊」である。
店主の藤野邦雄さんはかつて帯広、札幌、釧路のホテルで洋食の修行を積んだ腕利きの仕事人だ。安くておいしい料理を提供する店として人気を博し、北洋漁業やマイワシの豊漁で経済が潤っていた当時、週末ともなると大変な盛況ぶりだったという。
歓楽街の末広地区に店舗を移転してからのことである。
ある時、常連客の宴会で「いつもと変わらないザンギでは飽きてしまうのではないか」と、少し甘くて酸味のある「タレ」をかけて提供したことがあった。好評だったが、その後は店主の気まぐれで時折宴会コースの変わりダネとして登場する程度。この味を知る客はまだ少なかった。
転機が訪れたのは1980年代の中ごろ。
先客の宴会が終わった直後に、地元のアイスホッケー選手らが店を訪れた。片付け途中のタレのかかったザンギの皿を見つけ、ふとそれをつまんで口にした選手は思わず大きな声を上げた。
「いやぁ、うまい!」
それ以降「タレのかかったザンギが食べたい」という要望がじわじわと広がり、気付けばその味を求めて来店する客が後を絶たなかった。こうして「ザンタレ」は正式にメニューに加わることになる。以来、店の看板となった。
地域の食堂、そして目的地としての「南蛮酊」
「ザンタレ」発祥の店として、さまざまなメディアに登場する機会も増えた。中にはSNSで多くのフォロワーを抱える有名人も訪れるという。こうした発信に影響され「釧路に行ったら南蛮酊に行きたい」という客も多い。すでにここがひとつの「目的地」になっているようだ。

南蛮酊は午前11時の開店から、夜のラストオーダーまで中休みなく営業しているため、立ち寄ればいつでもその味にたどり着ける安心感がある。旅行者だけでなく、地域に暮らす人にとっても心強い。
さて、何を食べるか。
ひとりなら迷いは少ない。名物ザンタレで攻めるか、洋食メニューにするか、それだけだ。
しかし複数人、ましてや仲のいい者同士となると話は別で「まずザンタレ(レギュラー/ハーフ)を頼んで、それぞれ定食もつけて、あ、カラタレも食べたい。ちょっと待って、なんだこの『いなりバーグ』は?」と、選択肢が一気に増えてしまうのが困ったところである。
その場合は大いに迷って、心残りがあればまた再訪しよう。

ザンタレ攻略メモ
①レギュラーサイズは3人前程度
②ハーフサイズで1.5人前…かな?
③ご飯は別注文。「ライス」か「定食」をプラスしよう。
④ちょっぴり辛い「カラタレ」もイケル!
⑤食べきれなかったらお持ち帰りも可能
個人的オススメ
・カツ丼(肉厚で甘め、くせになる)
・カレー(厚切りの豚肉でボリューム満点)
・意外なスタメン、チャーハン(しっとり系で脂のおいしさが◎)
店名に「西洋堂」 その心を受け継ぐ
店主の藤野邦雄氏は生粋の洋食料理人で、根っからの仕事人だった。
「ザンタレ」をはじめ、ここでしか味わえない懐かしい味を求めて来る客らに笑顔で応対した。2020年に72歳で急逝、その直前まで厨房に立ち続けた。
現在店を切り盛りするのは妻の俊江さん。先代店主が残したレシピ本を読み込み、間近で調理していた姿やその手順を思い出し、あの頃のままの味を提供するべく日々奮闘している。

メニューには洋食店の誇りが見て取れる。定番のザンタレは目に付きやすい位置に表記があるものの、その周囲にはフライ、スパゲッティ、ハンバーグ、とんかつ、豚丼やカツ丼、カレーにチャーハンなど何でもある。
まだ半分も制覇していない自分に気が付き、次回の楽しみが増えては通う足が止まらない。
名物のザンタレはハーフサイズであっても相当な量だ。なぜこんなにも大盛なのか。
当時を回想する奥様は「喜んでもらいたかったんでしょうね」。
たくさん食べてほしかった。喜ぶ顔が見たかった。
その思いは数十年という年月を超え、今も受け継がれている。(編集部:カチョー)
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