伝えたい「蔵」の記憶(432)消えた千秋庵旧店舗
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2022.10.17
北大通り都市改造が進捗し、新しい街並みが誕生する北大通り商店街。変貌する古い街並みへの惜別を昭和45年7月28日の釧路新聞が報道しています。写真は、取り壊し前の、牧歌的なドーム屋根で市民に親しまれた千秋庵の店舗の写真と「消えた千秋庵旧店舗」「33年間市民に親しまれる」「戦前建てられた洋風建築」の見だしで報道した新聞記事です。

北大通り6丁目のドーム屋根の千秋庵の店舗は昭和12年8月に完成し、戦前は北大通り5丁目の小松金物店の三角屋根と共に北大通商店街のシンボルとして釧路市民に親しまれていましたが、小松金物店の店舗が戦災で焼失した後は、北大通り5丁目交差点を渡る時には必ず目にする戦前の北大通り商店街のシンボルの記憶を伝える店舗でした。
新聞では、「ドーム型の屋根は、洋風菓子店なので洋風建築にシャレてみようと思って作った」と店主照井さん。「函館本店がロシヤ風だったので札幌、小樽、旭川、帯広、釧路も洋風建物でしたが、釧路以外の店舗が現代建築にきりかえ、釧路だけが古い建物の面影を残していましたが、都市計画事業に合わせて取り壊した」とドーム型屋根千秋庵の店舗の誕生から取り壊しの経緯を語っています。
消えた千秋庵の店舗について古老は、「千秋庵の2階から北大通り5丁目交差点を眺めながらケーキとコーヒーでおしゃべりした時間が忘れられない」と語っていました。苦難が続いた戦前戦後の多くの釧路市民に甘い夢と楽しい思い出を残しています。




