伝えたい「蔵」の記憶(340)末広町の喫茶店
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2020.6.8
戦後の末広町の賑わいの街並は、釧路の基幹産業の漁業、石炭、紙パルプの活況と人口の急増、国内経済の成長により時世に対応して変貌を遂げます。
その経済成長が続く昭和36年発行の住宅地図で末広町の街並を見ると、釧路劇場などの映画館街、イチマルパチンコなどの遊戯場と銀の目、ニュー東宝、喜水、八千代寿司、八宝園などの飲食店が軒を連ねています。躍進釧路を象徴する賑わいの街並ですが、市民生活に文化の香りを伝える喫茶店の多さが末広町に新しい時代を感じさせます。
当時の喫茶店を見ると、末広町1丁目は釧路川の見える「やちぼうづ」、2丁目は広いフロアーの「エデン」、絵画と音楽で文化の情報を発信する「モカ」、美人のウエートレスを揃えた「セコンド」、3丁目の釧路劇場裏側と横に多くの市民の憩いの場となった老舗の「クロンボ」と「ニュークロンボ」が並んでいます。

写真は、昭和36年4月6日付釧路新聞に掲載された「ニュークロンボ」の広告で、女性が好む、フルーツポンチ、アイスクリーム、パフエ、サンデーを春から夏への味覚として宣伝しています。また、4丁目の映画館映劇の並びに小さいけれども大人の雰囲気の「花馬車」と名曲を楽しむ「琥珀」、映劇の裏側にゴージャスな「もく馬」、5丁目のニュー東宝横にのんびりとコーヒーを楽しむ「コージコーナー」と店の個性を競い末広町の賑わいを支えています。
末広町の喫茶店は、斬新な文化を発信し市民の憩いの場として賑わい、若者には気軽に大人の雰囲気を体験する場として人気を集め、多くの市民の記憶に残る喫茶店です。




