特集記事 お店・買い物
公開:2026/06/10 更新:2026/06/29

昭和の思い出と絶品おやき―北大通の「なつかし館」で味わう憩いの時間

レトロモダンな外観に「よっちゃんのおやき」の看板。釧路市中央図書館の駐車場の斜め向かいに、ひときわ存在感を放つ場所があります。「なつかし館蔵 北大通店」です。

材木町にある私設郷土資料館「なつかし館蔵」の姉妹店のような位置づけで、このほど10周年を迎えました。昭和レトロが大好物な私、材木町の「なつかし館蔵」には何度かお邪魔していたのですが…実は北大通店でおやきを味わうのは未経験。「よっちゃんのおやき」の文字に引き寄せられて、昭和へタイムスリップしてきました。

右側の「よっちゃんのおやき」の小窓からテイクアウト注文ができるようです。

ドキドキの潜入。懐かしさのオンパレードに大興奮

扉を開ける前は、ちょっとドキドキしていました。「若い女性(そうでもないけど)が一人でふらりと入っても、気まずくないだろうか?」と心配していたのです。でも扉を開けると、

「いらっしゃいませ、どうぞ~」

と、とびきり優しそうなスタッフさんが迎えてくれて、ひと安心。そして中へ進むと、銭湯の番台広告やら北大通のマップやらキャバレーのマッチやら…追憶の品が次々と目の前に飛び込むわ飛び込むわ。「うわ~!うおぉ~!」と語彙力を失ってひたすら唸り続けてしまった。

メニューを頼むのも忘れて、ひたすら店内を堪能しまくる私。特に昭和50年頃の北大通のマップは、駅前からロータリー付近まで、当時並んでいたお店やビルが写真で再現されているんです。

「YESそうご電器!」「ハコダテヤ!」「ミュージックショップ国原!」

一人ではしゃぐ不審な客(私)にも、スタッフさんは「面白いでしょう」「懐かしいでしょう」と、温かい笑顔で見守ってくれていました。

おやき×コーヒーは最強でした

さて、ようやくカウンターに座ってメニューをチェック。看板の「おやき」はあんとクリームをはじめ、季節限定や「おやきとコーヒーまたは紅茶」などのセットも充実しています。迷った挙句、おやきのクリームとコーヒーのセット(580円)を注文。

※ちなみに、道外在住の読者さんのために説明すると、北海道で「おやき」といえば今川焼き(または大判焼き)のことで、長野県の郷土料理「おやき」とは別物です。明治時代はあんこのおやきが庶民の定番おやつだったとか

あんかクリームかで迷い、コーヒーか紅茶かでさらに迷う。
お皿に乗ったおやきのビジュアルに「これ絶対うまいやつ」とテンションが上がります。

おやき(クリーム)はもっちりと弾力のある皮に、こっくり濃厚なクリームがとろり。ふわっと香るバニラビーンズの甘い香りにも癒やされます。

そしてコーヒーとおやき。この組み合わせ、最強ですな。コーヒーは渋すぎずすっきりとした酸味が私好みでした。

次回は季節限定のおやきも試してみたいところ。3~5月は黒豆あん、6~8月は抹茶あん、9~11月は栗あん、12~2月はビターチョコだそうです。目指せ全制覇!?

これからの季節にうれしいフルーツあんみつ。

釧路の昔トークが距離を縮めてくれる

私がゆったりとおやきを味わっていると、常連さんに観光客に…次々とお客さんがやってきました。

「昔は竹老園に動物がいたんだよ」 「駅の2階にホテルもあったんだよ」「釧路ラーメンの元祖と言えば『ばってん』だよなぁ」

気づいたら釧路の昔トークで大盛り上がり(常連さんも詳しすぎる!)。隣に座った瞬間から、みなさん初対面とは思えないほど会話が弾みます。久々に「人との交流の楽しさ」というものを実感しました。大げさではなく、人肌が恋しくなったらここに来よう。と思わせてくれる場所。笑いに包まれた、温かくてやさしい時間だったのでした。

2階のアイヌ民族資料館は、何といっても解説が素晴らしい

実は奥に階段があり、2階はアイヌ民族資料館になっています。階段を上ると、そこはまた違った世界が広がっていました。

1968年公開の映画「釧路の夜」のポスターがお出迎え。
日によってはボランティアスタッフさんがいることも。「これ、何の道具?」「いつの時代のもの?」などの質問も丁寧に解説してくれますよ。

アイヌ民族がどういう暮らしをしていたのか、史実がわかる貴重な写真の数々を見ながら、ボランティアスタッフさんから解説が聞けます。飾られた言葉ではなく、史実に基づいた解説はどれも貴重なものばかり。よくある”観光客向けのきれいにまとめられたエピソード”とは違ったアイヌ文化を知ることができ、やはり事実は重く、そして興味深い…!「もっと勉強してみたい」と思わせてくれました。

アイヌ関連以外にも、大正~昭和の学校の用具や教科書、お正月の遊び道具などジャンルごとに並んでいます。一つ一つを手にとって眺めていると、「昔の人はどんな思いで、どうやって道具を作ったんだろう」「これはどんな人が作ったのだろう」…思いを馳せずにはいられません。

お金で買えない価値を、未来へつなぐ

「なつかし館 蔵」は材木町にもあり、館長の中野さんが50年以上にわたって収集してきた昭和時代の日用雑貨などを公開しています(おやきなどの飲食販売はありません)。懐かしい資料のほか、戦時中の生活用具やおもちゃ、電化製品など見ごたえ十分。明治時代に活躍した貴重な釧路埼灯台のレンズも展示されています。

今の時代、なんでも便利になり、AIさえも進歩する日々ですが、昔の人たちがなぜたくましく生きていたのか。その暮らしの根源が垣間見える気がします。絶対に失ってはいけない、お金で買えない価値をこうして残して公開してくださるのは、本当にありがたいことだなぁと胸がいっぱいになりました。

そんな価値がたくさん詰まった「なつかし館蔵 北大通店」で、おいしいおやきを味わいながら昭和に浸ってみてくださいね。もちろんカウンターでの談笑付きで。(エリ子)

なつかし館蔵 北大通店の基本情報はこちらから!

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