特集記事 レトロなお惣菜
公開:2026/09/15

洋風な料理名にだまされた!レトロなお惣菜第9回「ポテトライス卵そえ」

ポテトライス!

何とも魅惑的なネーミング!

しかも卵そえなんてシャレオツ(死語)!

せっかく作るのだから、おいしいものが食べたい。
いり豆腐だの五目汁だの映えない惣菜はテンションが下がる。
という浅はかな選択基準で、内容をよく読まずレシピを手に取った。

一瞬、「炭水化物(米)に炭水化物(イモ)だと…?」という不信感がよぎったが、世の中にはサツマイモご飯や豆ご飯が存在するのだからポテトライスもきっと有りだ。そうだ、そうに違いない。

1956(昭和31)年7月4日釧路新聞2面より

カタカナ表記の料理名に心が躍っていたが、よくよくレシピを見るとかなり和風寄りである。
チャーハンとも焼き飯とも違う。味の想像がつかない未知の領域に踏み込む足がいささか躊躇している。
いや待て待て。こんなに「失敗のしようがない」料理もあまりないではないか。切って炒めるだけだぞ。

今回は5人前のところ、1人前で作ることにした。
作った料理の消費に協力が見込めない事情があることをご理解いただきたい。

では材料から。

今回の材料。福神漬けを写真に入れ忘れました

今回はすべて家にあるものでまかなえるという、余り物万歳料理である。
だが、この材料を見る限り、そして調味料は塩と味の素のみという構造を見る限り、期待値はどんどんしぼんでいく。
頭の中では勝手にペッパーランチ的なスタミナ料理を描いているのだが、どうも理想との距離が引き離されている予感、というか予測。

調理工程は少なく、ただひたすらに材料を細かく切ればいいようだ。
苦手なみじん切りも、1/5の量ではさほど苦にならない。

これが、ポテトライスになるという

話が逸れるが、「福神漬け」の発音が北海道では独特なのだと気が付いた。
「ふくんづけ」=しの部分を高く、なおかつ濁らないのが北海道。
通常は「ふくじん・づけ」なので「ふくしんづけ」ではパソコンも変換してくれない。

最近「しあわせよ・つ・ば~♪」のメロディーが頭から離れない

では炒めていこう。

この企画のレシピではやたらと炒める時にバターが出てくるのだが、昭和31年はまだバターは高級品のはずだ。
マーガリンで代用するにしろ、炒め物にわざわざバターを選ぶとはどういうことだろう。

と気になって調べてみたら、そもそもフライパンの普及自体が昭和35年以降なのだそうだ。この時代の台所には炒め物という概念がまだ早かったのかもしれない。
そんな背景をかみしめつつ冷蔵庫を開けると、通常のバターを切らしており、代打でお高いバターにご登場いただいた。

このままピラフにならんかなあ

バターで玉ねぎを炒めると、至高の香りが漂いテンションが戻ってくる。このままピラフになればいいのにと願うが、多分その未来はない。

ジャガイモは、細かく切ったとはいえ生なので、なるべく長く火を通したい。じりじり炒めていくが、徐々に具材が鍋肌にくっつきはじめてきた。ジャガイモをつまんでみるも、まだジャリジャリしている。

うん、まあまだこの先も炒めるからこれくらいでいいかな。
レシピにも「少し焼き色がつくくらい」とあるし。

…そういうトコ!という自覚はある。

やばいくっついてきた

ここで、レシピの紙切れを2回読み直した。

「この中へ用意してある福神漬け、紅ショウガ、青ピーマンを入れ、塩と味の素で味をととのえ、あおりまぜ温かい器に盛る」

あのぅ…

ごはん、いつ入れるんですかね?



いや、分かるけど。
このタイミングだって分かるけど!

レシピにはごはんの表記が抜けているようです

目玉焼きを別のフライパンで作って載せる。

パセリなんぞ振ってみる

おおお!

見た目がすごーくカフェ飯っぽい。
昭和の料理とは思えない。
令和のワンプレートランチとして出てきても違和感がない。

ただし、近付くと紅ショウガ。

半熟とろーりには間に合わなかった

期待を込めず実食。

塩と味の素だけのせいか、うすぼんやりとした味に仕上がっており、ただただ紅ショウガの自己主張の強さが印象に残る。
福神漬けとバターの相性も良いとは言いがたい。

肝心のジャガイモは、かろうじて火が通ってはいるものの、ホクホクな食感からはほど遠く、キャベツの芯の切れっ端かなと思ってしまった。

福神漬けの甘ったるさ、紅ショウガの辛味、バターの孤独感、ジャガイモの脇役っぷり。全員が別方向を向いている。
まずくはないが、おいしいものではない。これが、ポテトライス。

いったい何を意図してジャガイモとごはんを一緒に炒めようと思ったのか。
うすうす思ってはいたが、このレシピの考案者の前日の夕飯はカレーだったのではあるまいか。
あっいろいろ余っちゃったから全部入れたろ!という魂胆が見え隠れしているのは気のせいか。

今回ばかりはおそらく料理の腕云々よりもレシピに異議あり!である。(編集部:ごめのすけ)

TOP