鉄オタの世界⑮「突放と連結」
(前回からの続き)
その後も次々とタンク車が突放されてきます。本来は、前のタンク車に連結するまで乗らないといけないのですが、効率化を図るために、ある程度の速度に落としてタンク車から飛び降り、次に突放(とっぽう)されたタンク車が来るのを待ちます。
「だいたいこのスピードで行けば、先に突放して停車しているタンク車と連結できるだろう」
という長年の経験で、乗っているタンク車から離れる際の速度を決めます。
季節や気温、雨や雪の天候によって微妙にタンク車の転がりが変わってきます。
また、タンク車の中に入っているのは液体です。
入換作業中に前に進んだり止まったり、あるいは後退していると、中の液体がチャポチャポと音を立てて動きます。
タンク内の石油類の動きに合わせて突放されたタンク車が速くなったり遅くなったりするので、速度調整には気を使います。
速度が速いまんま、先のタンク車に連結すると大きな衝撃音が響きます。
「これは連結器がいかれたか?」というような衝撃もありましたが、不思議と壊れたことは一度もなかったです。国鉄の技術は優秀だったのでしょうね。
タンク車のブレーキは、デッキのところにある手回し式のブレーキです。タンク車の種類によって、ブレーキの効きがそれほどよくないもの、効くものがあります。形式でいえばタキ3000がよく効いた記憶があります。
ブレーキパットは鋳鉄製がほとんどで、ブレーキをかけるとズズズという音が鳴ります。
また、減り方もけっこうなものでした。
たまに新型のタンク車(形式は忘れました)が新富士駅に来ることがあります。このタンク車のブレーキパットは合成制輪子と言われるもので、ブレーキをかけても静かで、しかも効きは抜群でした。
当時の十條製紙に出し入れしていた貨車はハワム80000と言われるバレット輸送用の有蓋車でした。
このブレーキは、側面のレバーを足で操作します。
数両まとめて突放されると、先頭の1両だけブレーキかけたのでは思ったほど速度が落ちず、1両目のブレーキをかけたまま飛び降り、2両目に飛び乗ってブレーキをかけたりしていました。
今思えば職人技だったのかもしれません。

楽しいこともありました。
ワフとかヨとか緩急車(車掌や列車掛が乗る車両)は、最後に突放されます。
手回し式のブレーキなのですが、車両が軽くてブレーキ操作がたやすく、まるで列車を運転しているような錯覚に陥ります。
慣れてくると(鉄道ファンの私だけだと思いますが)前の貨車と連結する際、できるだけガッチャーンという大きな音を立てないで、連結器がかみあった瞬間に、ピンと呼ばれる鎖錠がカシャと落ちるような操作をします。時には失敗して連結前で止まることもありますが・・・。
万が一、突放したタンク車から飛び降りる際に速度が遅く、その先で待っているタンク車と連結できなかった場合は、すべての入換作業が終了したあと、DE10に押してもらって連結をします。それはとても恥ずかしいことでした。
石油製品を満載したタンク車はびくともしませんが、ワムやワフ、ヨなどの比較的軽い貨車ですと、車輪に鉄製の棒を差し込み、テコの原理を使うと簡単に動き出します。(鉄道大好きおじさん)




