伝えたい「蔵」の記憶(460)浪花町のレンガ倉庫の記憶
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2023.10.16
釧路市は、昭和7年町名地番の改正を実施し、橋北地区の西幣舞、頓化などの旧地名は、北大通、末広町、浪花町、寿町などの16の新しい地名に変わります。浪花町は、頓化と西幣舞の一部を包含して設定されます。
浪花町については「中央やや東寄りに地方費道(現国道38号)が貫通している。この路線は火防線となっていて、商業に適している。今や多数の営業倉庫と選穀工場が並び農産物の集散地区を形成している。このため、北海道農産物検査所釧路支所があり、汽船と貨物を結ぶ鉄道省による海陸連絡設備が完成すれば、一大発展を遂げ、その繁栄大阪にあやからん事を祈り浪花町とする」(釧路郷土史考)と記述されています。
同7年の市街図で浪花町を見ると、釧路川右岸の木材揚場、鉄道の引込線、三上倉庫などの倉庫が並び、近隣に職業紹介所、三井物産などの事業所が見られ、木材、農産物の集散地であり、雑穀荷役の主役の町です。

写真は、浪花町5丁目にある菱形の中にNの字が見えるレンガ倉庫です。同7年6月発行の釧路市大日本職業別明細付図では三上倉庫と記述され、明治43年発行の釧路港実業家名鑑明細全図を見ますと中川倉庫と記述されています。N文字は、佐賀県出身の中川熊三郎が同39年8月1日創立した中川倉庫合資会社の社章であると同時に、イニシャルを意味しています。(街角の百年)
レンガ倉庫は、十勝からの雑穀の集荷に重要な役割を果たします。大正6年、十勝の大津から釧路港進出し、のち三ツ輪運輸(株)に継承された三上運送店が買収し三上倉庫となり、多彩な釧路港の記憶を伝えています。




