その他 蔵の記憶
公開:2026/03/14 更新:2026/04/24

伝えたい「蔵」の記憶(400)丸三鶴屋のれん市

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2021.12.20

 日本の高度経済成長により昭和元禄と呼ばれた昭和40年代の女性のオシャレの楽しみの一つが着物でした。もの不足の昭和20年代を体験した女性は、入学式、結婚式などでの華やかな着物姿に憧れ、着物ブームとなります。

丸三鶴屋「恒例のれん市」の広告

 写真は、昭和43年11月12日の釧路新聞に掲載された丸三鶴屋の「恒例のれん市」の広告です。丸三鶴屋は明治39年、現在の南大通(当時の真砂町)で創業し、顧客第一の商売で信頼と格式を受け継いできました。のれん市は、顧客の信頼と丸三鶴屋の格式に応える催事です。

 広告は、全国11の大百貨店が一緒になって織物の4大産地をまわって集めた原地直接仕入れ・実用呉服を並べ、「おしゃれを兼ねた実用品呉服特集」と謳っています。共同で産地から大量に仕入れた最新の着物を「伊勢丹、今井と同じ特値で提供」と伝えています。着物は、伝統を受け継ぐ織物産地の4大産地の八王子駒綸子シルクウールお召、尾州ウールお召、西陣文ウールお召、伊勢崎横双ウールお召を紹介しています

 実用呉服のウールお召・シルクウールお召は、絹100%の着物は高価なので絹に代わってウールを使用した安価で気軽に着られる普段着として人気の着物。特に若者には、女性の絣(かすり)と男性の羽織、着物がブームでした。

 丸三鶴屋ののれん市は、百貨店の共同仕入れという流通形態の変化を伝えながら、「新しい着物でお正月を迎えたい」という風習と着物への憧れに応えた和やかな時代の記憶を伝えています。

前「ファミリーショップ・マート誕生」    次「丸三鶴屋のハィイレブン謝恩セール」

TOP