伝えたい「蔵」の記憶(389)岡野絹物店創業50周年
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2021.9.6
昭和42年の北大通商店街は、都市改造事業の進展により店舗の新築、移転、増改築により変貌が続き、新聞紙面にも華やかな新築、改築売り出し広告が見られる中に、創業50周年を迎えた京呉服の専門店岡野の広告が見られました。

写真は、昭和42年10月22日付の釧路新聞に掲載された京呉服の専門店岡野の「京ごふくきものと共に歩んで50年」を謳った創業50周年記念秋の謝恩特別ご奉仕会の広告です。
京呉服の専門店岡野は、岡野佐太二さんが西幣舞(現北大通)で大正5年岡野呉服店を開業します。当時の北大通は、同6年釧路駅が現在地に新築移転され、商店街がその後釧路の中心街商店街へ発展します。
岡野呉服店は、大戦景気の時代に創業しますが、大正8年1月3日の西幣舞の大火により店舗を消失。「店舗再建後の大正9年戦後恐慌により苦難を体験し、同12年に行商人として呉服商に専念し道東一円に販路を求め今日の基礎を築く」と、岡野佐太二さんをモデルにした「此の地に生きる」(著竹西勇二)に記述されています。
昭和4年店舗を北大通に新築し趣味の京呉服を専門とする岡野絹物店を開店し、同8年12月28日付の釧路新聞に郷土の名勝阿寒をテーマにした阿寒模様応用衣装を発表し好評を博します。戦況が厳しくなると簡素美婚礼衣裳を揃え、戦前戦後の統制経済下では市民の衣料生活を支えます。
京呉服の専門店岡野の創業50周年は、西幣舞の大火、戦後恐慌、統制経済、戦後復興を乗り越えた北大通商店街の記憶を受け継ぐ逞しい商魂の記憶を伝えます。




