伝えたい「蔵」の記憶(386)釧路湿原天然記念物に指定
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2021.8.9
釧路湿原は、北・東・西の三方向を囲む丘陵・台地を深く切り込み、南は砂丘をへだてて平滑な海岸線で太平洋に面している。湿原の高度は海抜2~10㍍と低く、平坦で、その広がりは東西最大17㌔㍍、南北に長く36㌔㍍、面積は2万9084㌶に及び、「日本最大の泥炭・湿原である」と釧路叢書釧路湿原に記述されています。
自然豊かな、ヨシ、スゲとハンノキの低層湿原が広がる釧路湿原は、全国の湿原全面積の59%を占める日本最大の大きさで、「古事記」の豊葦原瑞穂国の記憶を伝え、昭和10年に「釧路のタンチョウ及びその生息地」として天然記念物に指定されます。
昭和42年7月21日の釧路新聞は、「天然記念物に指定・釧路湿原・鳥類など学術的価値大と」の見出しとともに、「タンチョウヅルなどの鳥類が渡来、その繁殖地として知られる釧路湿原が正式に国の天然記念物に指定され、これによって、動植物は自然のままの姿で保護される」と報道しています。

写真は、釧路湿原の天然記念物指定地域のキラコタン岬から眺めた、原始の姿を留める湿原の中に川の蛇行が見える絶景です。
経済活動が優先される世相の中での釧路湿原天然記念物指定は、昭和27年3月、国の特別天然記念物に指定され、地域の人々が支えてきたタンチョウヅルの保護も保護地域拡大によってより促進されます。その後、釧路湿原は、同55年にラムサール条約の指定湿地に登録され、同64年には湿原単独ではわが国初めての、28番目の国立公園の指定を受け釧路湿原の保護が継がれます。




