伝えたい「蔵」の記憶(262)移転大売り出し
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2018.8.20
北大通り商店街の戦後復興は、戦災と戦後経済の混乱を経て逞しく進んでいきます。北大通り商店街の復興を見ますと、焼けた店舗を再建した丸三鶴屋、休業した店舗を再開したマルト北村、焼跡に店舗を再建した平和市場や中山茶紙店など様々な開業も見られます。

写真は、丸三鶴屋隣の銀座マーケットの畑衣服店(現在の畑呉服店)が昭和26年11月3日の北海道新聞に掲載した「移転大売出し」の小さな広告です。「永らくパラダイスで御贔屓を頂きました畑衣服店が此の度び丸三鶴屋隣に移転開業しました」と記念大売出しの広告です。
戦後古着屋の行商から出発した畑衣服店は、昭和22年に末広町3丁目の焼跡に開設したパラダイスに店舗を開き、同26年北大通り5丁目銀座マーケット、同28年北大通り11丁目へ移転・開業し同41年店舗新築、と戦後の足取りを「わがマチの人物地図」(釧路新聞社)が伝えています。
広告を見ますと、「銘仙袷、木綿反物、敷布、子供ズボン、毛布、別珍足袋」などを販売する衣料品店ですが、11月17日の冬物大売り出し広告は、御嫁入衣裳が何でも揃う「晴れ着の畑衣服店」と呉服を宣伝しています。呉服を中心に衣料品を取扱う店舗ですが、その後呉服専門店として店舗を広げます。
戦後の混乱した北大通り商店街は、戦災から店舗を再建した金安時計店、松並家具店や、移転開業のセトモノの丸勝、新規開業の山下書店、畑呉服店などが支えます。
移転大売り出し広告は、混乱期に挑戦する商店の活力の記憶です。




