公開:2026/06/01 更新:2026/06/02

鉄オタの世界⑤「におい鉄」

 鉄道が好きな人たち(私も入ります)にとって、列車の〝におい〟も愛?の対象になります。

 昭和時代の列車は、それぞれに〝におい〟がありました。釧路、根室地方は、電車ではなくディーゼルエンジンを積んだ気動車や機関車が主流でしたから、エンジンから排気される紫煙の〝におい〟が体に染みついています。

 国鉄に勤務していた頃(今から50年ほど前)、貨物の入換作業をしていましたからディーゼル機関車のDE10とかDD51と付き合っていました?ので、今もその香りを覚えています。

 また、型の古い客車(気動車含む)の床が板張りで、油を煮詰めたような床でしたから、そこから発するなんとも言えない〝におい〟もありました。それが暖房装置で車内温度が上がると、独特な〝におい〟が車内に充満して、それが酔いの原因になったりしました。

 びろうなお話で恐縮ですが、列車のトイレで使用する消毒液も強烈な〝におい〟を発していました。

 楽しくなる〝におい〟もありました。釧路を発着する「おおぞら」など82系の気動車特急に食堂車が連結されていた時代のことです。記憶が正しければ、食堂車で調理したカレー弁当を車内販売で売っていました。そのふたを開けると、車内にカレーの〝におい〟がして、食欲をそそりました。

 今はもうないのですが、エゾシカの駅弁が釧路駅で売っていました。その弁当は、箱から出ているひもを引くと、弁当が温まる仕組みでした。さっそく弁当のふたを開けると、独特な〝におい〟も噴出してきて、なぜか恥ずかしい思いになり、味わう暇もないほどエゾシカ肉とご飯を次から次へと口に放り込みました。

 におい鉄は、私のお仲間との話から生まれました。その方が言うには、列車の〝におい〟の中では、ゴムタイヤで走る札幌市営地下鉄がよいというのです。何となくわかるような気がしました。

 今走っている列車には、それほど独特な〝におい〟はありません。さまざまな技術が進んだということでしょうか。

 しかし、圧倒的な〝におい〟を輩出している列車が釧路で走っています。それは1~3月に釧網本線の釧路~標茶で運転されている「SL冬の湿原号」です。石炭が燃えて出てくる煙の〝におい〟は、何とも懐かしく思えます。そしてこの〝におい〟をかぐと「冬が来た」ことを実感します。

におい鉄の王道でもある「SL冬の湿原号」

 私たちは趣味の世界なのですが、SLを動かし、また修繕している人たちにとって、SLから出てくる〝におい〟は、調子を判別するうえでたいへん重要なものです。SLは五感を使って運転や修繕すると言っても過言ではなりません。

 車軸から出てくる焦げ臭い〝におい〟は、潤滑油が足りないとか、油が焼けているなど、不具合を知らせます。そのほか、車体に触って異常な熱さになっているとか、運転中に発せられる「ぼっぼっぼっ」という音が一定のリズムを刻んでいるかどうかで調子を見ることができるそうです。

 におい鉄は、鼻から列車を感じるのですが、これも鉄道を楽しむ一つの方法です。(鉄道大好きおじさん)

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