伝えたい「蔵」の記憶(232)昭和23年の映画館
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2017.10.30
戦後昭和23年頃の釧路の復興状況は、「焼失地の再起を図ると共に積極的な経済復興に努力しつつある」と当時の市が作成した釧路案内に記述され、復興と新しい時代への再起が感じられます。
復興に苦闘する市民生活に潤いと活力を与えたのが、新時代の文化を伝える映画・演芸、流行歌、ダンスでした。昭和23年当時は、第1回NHKのど自慢が開催され、流行歌では美空ひばりがデビューし、笠置シズ子の東京ブギウギのヒット、映画では三船敏郎の出世作「酔いどれ天使」などが好評を博します。
昭和23年の釧路案内は映画、演芸項目に、釧路劇場、国民劇場と日活館、ツルヤシネマが掲載されています。
当時の新聞広告を見ると、映画・演劇の釧路劇場、国民劇場は、舞台と映画のスクリーンを備え、華やかな衣裳の歌と音楽の「杉狂児とその楽団」、絢爛豪華な楽団演奏の「キング芸能祭」、島田正吾と辰巳柳太郎が出演する「新国劇」など演劇、演芸の公演と映画を上映し、日活館、ツルヤシネマは映画専門です。映画は、エノケン・ロッパの喜劇、キングソロモン、モロッコなどの邦画、洋画が上映され、人が溢れていました。

写真は、子供から大人まで人気の映画「ターザンの猛襲」のポスターです。「あ~ああ~」とターザンが叫び、愛きょうのあるチンパンジー、逞しい像群、主演のワイズミュラーの壮大なジャングルでの活躍は、多くの市民に感動と夢を与えています。
焼跡の映画館は、市民に笑顔と、スクリーンに映る近代的な生活への夢と希望を与えた復興への活力の記憶です。




