その他 蔵の記憶
公開:2026/03/06 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(167)座売りからの陳列

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2016.5.9

 西幣舞橋通り(現北大通)に深刻な不況が続く昭和5年9月丸三鶴屋百貨店が開店しますが、百貨店の出現は釧路の小売業界に新しい時代の到来を告げています。

 明治38年三越がデパートメントストアー宣言をしたのが日本の百貨店の始まりと伝えられています。近代的な大規模な店舗、多種多様な商品、定価販売、人目を引くショーウインドーなど新しい販売方法で人気を博します。以前の販売方法は、売り子が呉服店内の畳に座り来客の希望の商品をひとつずつ見せる座売りでしたが、百貨店は陳列式販売で当時の人々を驚かせます。

丸三鶴屋の食品売場

 写真は開業時の丸三鶴屋一階の食料品売り場の様子です。店内は、シャンデリアが輝く高い天井、ショーウインドーに並べられた商品、制服を着た女子店員、広い通路。其れまでの土蔵造りの店内に比べて新しい文化を伝えています。

 店舗正面玄関の左右に大きなガラスウインドーに最新流行商品を展示してウインドーショッピングが楽しめます。昭和6年1月2日の釧路新聞に掲載された初売りの報道によると「人気を呼んだ丸三デパートは食料品部を筆頭に猫の手でも借りたい程の忙しさ…」と盛況の様子を伝え、1月5日の丸三鶴屋の新年の挨拶では、混雑の為に数回門戸を閉めた事をお詫びしています。

 土蔵造りの店舗が軒を並べ、座売りが多い時代に登場した近代的な店舗、明るい売り場に趣向を凝らし陳列された多くの商品は、躍進釧路の新しい自慢であり西幣舞橋通り商店街から北大通商店街へ発展する記憶です。

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