伝えたい「蔵」の記憶(344)東宝劇場
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2020.7.20
東宝劇場は、末広町4丁目(元丸三鶴屋新館)で昭和20年代後半から30年代の日本映画の黄金時代に、東宝スコープ(ワイドスクリーン)を採用し、「隠し砦の三悪人」などの黒澤明作品によって隆盛を極める東宝映画の封切り館ですが、戦後の混乱期をアイデアと活力で乗り超えています。

写真は、喜劇「雲の上の団十郎一座」と岡本喜八監督の「独立機関銃隊まだ射撃中」の看板が見える昭和37年頃の東宝劇場です。
昭和21年4月18日の北海道新聞は、戦災から再開した百貨店丸三鶴屋で、新しい時代の文化を発信する『文化シネマ』(2、3階の2会場)開館のニュースを報道しています。文化シネマは、文化映画とニュース専門の映画ですが、その後の映画案内を見ると戦前に制作された作品を主に上映をしています。
昭和22年12月24日の上映は、『ツルヤシネマ』として2階が「蛇姫の大会」(同15年制作)、3階が「藤十郎の恋」(同13年制作)を案内しています。さらに同24年1月1日は、東宝配給の「歌うエノケン」(同23年制作)を『釧路東宝』として案内し、短期間に2度映画館の名前を変更しています。
終戦間もない昭和22年頃の北海道新聞の映画案内は、「3階は明日節電の為休み」とか、「割合、混まないのは午前中と4時頃です」など混乱期の映画館の様子を伝えています。
東宝劇場は、映画の黄金時代を迎える昭和29年頃になると、黒澤明監督、三船敏郎主演の「七人の侍」や円谷英二監督の特撮「ゴジラ」など。同30年代には加山雄三の若大将シリーズ、森繁久彌の社長シリーズなどを上映し、多くの人に感動、夢、笑いの記憶を残しています。




