伝えたい「蔵」の記憶(210)欲しがりません勝つまでは
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2017.5.15
昭和18年3月2日の北海道新聞は、「非常服に身を固め、お菜は塩か漬物」と陸軍記念日の行事決定を報道しています。全道民が、感謝の気持ちを持ち毅然として苦難に耐え敵米英徹底撃滅の戦場精神を昂揚させる為開催3日間は、戦時食、非常服とし戦場同様の精神の緊張感を体験して銃後の護りの気魄昂揚を図る行事です。
昭和18年の前半の日本軍は、2月1日にガダルカナル島撤退を開始、4月8日連合艦隊指令長官山本五十六戦死、5月29日アッツ島守備隊玉砕と戦況の深刻さが伝えられています。銃後を守る人々の市民生活も大東亜戦争完遂の緊張感が増しています。

写真は、戦時の国民生活に大きな影響を持った大政翼賛会が制作した「欲しがりません勝つまでは」のポスターです。緊張が増す時局を反映し、大東亜戦争1周年記念の企画で32万人の公募から選ばれた標語です。全国的に多くの場面で見られ、銃後を守る人々の精神を伝える言葉でした。
「欲しがりません勝つまでは、衣料生活も新設計で」と昭和18年3月2日の北海道新聞に標語を採用した記事と、物資不足を生活の刷新で補う「愈々決戦新生活」の記事が掲載されています。生活物資の不足が続く今後の衣料生活は、創意工夫を必要とします、物が欲しい盛りの職場の乙女達の創意工夫と「欲しがりません勝つまでは」の決意を紹介して時局に対応した衣料生活の工夫を報道しています。
「欲しがりません勝つまでは」の標語は、厳しい戦時の市民生活を伝える記憶です。




