伝えたい「蔵」の記憶(197)街の酒場
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2017.1.23
昭和12年発行の釧路観光案内を見ると、道東の中核都市釧路の街並みは、魅力的な商店が並ぶ近代的街北大通りと、北大通りの東側2丁目から6丁目に連なる末広町の繁華街が活況を呈しにぎわっています。
末広町の昭和7年頃の街並みは、「旧西幣舞の一部に属し商業地区にして南半分は旗亭、カフエー軒を並べ紅燈街を形成、劇場2、活動写真館1等あり河岸は埋立地にして空地多し…」(釧路郷土史考)と新開地の繁華街を記述していますが、釧路観光案内は、新進の意気に燃える新発展地で見番(芸者の取次所)に登録された芸子数は伝統のある橋南を上回り、豪華なカフエーのネオンが輝き、釧路一の繁華街と紹介しています。

写真は、末広町のカフエー街の一角(末広町2丁目元オクノビル)に君臨する歓楽の殿堂「街の酒場」です。一大城廊と建物の豪華さを宣伝し、2階がカフエーで1階に撞球(ビリヤード)などの娯楽場を備える釧路最大のカフエーです。屋上にビール瓶を模った「キリンビール」の宣伝を掲げ、末広町4丁目(元丸三鶴屋新館)の料理店「ライオン」には、「サッポロビール」の宣伝が見られ、ネオン街の活況を感じさせます。
その他、オートマ式連続演奏自動蓄音機を備えた「ツバサ」など特色あるカフエー、料理店が軒を並べています。周囲は、エビス座(末広町2)、オペラ館(末広町5)の映画館、芝居を上演する八千代座(末広町5)の娯楽施設が集中し、越山、丸松、カネタなどのタクシーも見えます。
街酒の場と繁華街末広町は、躍進釧路の自慢の街並みの記憶です。




