その他 蔵の記憶
公開:2026/03/07 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(194)七冨久温泉

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2016.12.5

 北大通りの街並みは、大正6年12月1日根室線開通に伴い釧路駅が現在地に新築移転し、人口の増加と市街地の北進により急速に変貌します。

 昭和13年4月の釧路新聞に、「古老が語る駅前の街並み今昔」の記事が掲載されています。「昔の駅はちんまりとして今の運輸事務所付近は、どぶどぶのやちでカモが降りていた。大正7、8年頃北大通り13丁目の白陽堂の向かい空地に東京相撲を呼んで興業をした」などと、やちの中に開業した当時の駅前の様子を語っています。

 昭和11年発行の釧路市案内図で釧路駅前街並みを見ますと、以久代、とらや、などの旅館、旅行者が休憩する扇谷、尾張屋の待合所、創作観光土産品の白陽堂、栄喜前市場、不二タクシー、七冨久温泉などが軒を並べ、釧路の玄関口にふさわしい街並みでした。

七冨久温泉

 写真は、北大通り13丁目の西側の七冨久温泉です。七冨久温泉については、昭和の初め頃、六書堂と云う看板屋をやっていた阿部さんが始めたもので看板屋と銭湯が並んでおり、「カフエー全盛時代には奥さんがカフエーをやっていた」と「わがマチの人物地図」に記載されています。

 2階建の洋風店舗は、七冨久温泉、七冨久食堂、七冨久撞玉場、横沢調髪館の看板が見られます。のんびり温泉に入り食事やビリヤードを楽しむ、又は調髪をするなど、現代版のレジャーセンターです。駅前の地の利と付近に栄喜前市場、旅館、土産品店などもあり、観光客や近隣の沿線から来る人達の憩いと交流の場の様で、斬新なアイデアは先人のバイタリティーの記憶です。

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