その他 蔵の記憶
公開:2026/03/07 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(190)昭和8年の歳末

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2016.10.31

 昭和8年は、金融恐慌、世界恐慌、大凶作などで景況の低迷が続いた昭和初期の景況から、ようやく明るい兆しが見えました。「待望久しき景気来訪が」と釧路新聞が年頭に報道していますが、年末の12月28日も「市内の歳末景気、朗らかな気分漂う」「歳暮売出し人気は橋北一帯」と報道しています。

 歳末大売出しの人気は、北大通商店街に集中し、丸三鶴屋デパートは毎日毎夜押すな押すなの客足、丸ト北村呉服を始め専門店も昨年に比べてグンと客足が多く好景気であるが、南大通は歳末らしい気分が甚だ薄い、之は何と云つても「宣伝力」と新聞が指摘しています。

丸三鶴屋の歳末御礼大売出し広告

 年末商戦は、連日各商店の特色を訴える広告が競って新聞に掲載されています。写真は、丸三鶴屋の歳末御礼大売出し広告です。「鶴屋大蔵の市」「歳末御礼大売出し」の垂れ幕の見える店舗全景の写真を使い、豊富な商品と「クーポン呈上」、連日夜間営業をアピールしています。

 丸ト北村呉服の広告は、顧客で賑わう店内の盛況を写真で伝え、歳末福引景品売出しを実施し、連日連夜満員に次ぐ満員と、人気を訴えています。営業時間は、27日から29日午前0時、30、31両日午前2時に延長し顧客サービスで他店を圧倒します。岡野絹物店は、阿寒名勝を図案化した阿寒模様応用衣裳を発売。専門店共同企画は、「断然安イ」が呼び物の「三日デパート」などの宣伝が新聞紙面で競っています。

 歳末の広告合戦と北大通商店街の歳末売出しの活況は、景気の低迷を体験した釧路市民に活力と希望を与えています。

前「包装紙」    次「錦町市場」

TOP