大雨対策(上)【続・釧根防災チャンネル】
問答企画―車の運転には気を付けて!
山本:気象庁は「令和8年8月千葉豪雨」と命名しました。報道などによると17日現在、10人が亡くなり、住家被害も1500棟を超えています。どれほどのご心痛かとお察しいたします。
山本:よろしくお願いします。大雨対策は2つの視点で説明します。一つは「車の危うさ」、もう一つは「自宅を守る」。
ところで、ごめちゃんのいう大雨による災害は、釧路でもちょっと前に起こりました。
山本:2025年8月5日と、同年9月20日から21日にかけてです。同じ年に2回もです。釧路新聞によると、2025年8月の大雨では、釧路市中心部で道路冠水と車両の水没が発生。1カ月半後の9月の大雨では、北海道で初めての線状降水帯が発生し、音別地区で避難指示が出されました。

山本:水位が10㌢を超えた状態ーー目安として、タイヤの下半分がつかると、エンジンの故障やブレーキ不良の危険が高まります。
さらに、30㌢を超えてタイヤがすべて浸水すると、車体が浮いたり、ドアの開閉が困難になったりします。
60㌢以上になると、運転席を含む車内に浸水し、電気系統が故障したり、車体そのものが流される危険に陥ります。
今回の千葉豪雨でも現時点で、9人が冠水による車内閉じ込めが原因で亡くなりました。残念なことです。
山本:降水量が1時間で20㍉~30㍉未満の強い雨、どしゃ降りの中で運転をしたことは運転免許を取得していれば誰もがあるはず。視界が悪かったり、路面が滑りやすくなるため、恐い思いをしたことでしょう。
災害の発生につながる雨について、気象庁は予報用語で「非常に激しい雨」としています。1時間に50㍉~80㍉未満の降雨で、洪水や土砂災害、都市型洪水などを引き起こす要因となります。この段階での運転は、命に危険が及びます。「雨が強いな」と感じたら、できるだけ運転をしないでください。
山本:無理せず、安全な場所に停車して雨が弱くなるのを待つ―が大前提です。ただし、走行している場所によっては、安全を確保するために、いくつかやらなければなりません。具体的には、
①アンダーパスや冠水路などを避ける
②川沿い、崖のそばから離れる
③トンネル出口や橋の上では突風に注意し、速度を落とす
④モノが飛んできても大丈夫な屋根付きの場所に移動する
⑤駐停車は、地下駐車場や低い場所は避ける―。
2025年8月の釧路の大雨を取材した際、先行する車を追尾していた車が道路の真ん中で、何かのトラブルで急停止してしまいました。後続していた車も次々と止まって故障し、最終的に道路がふさがれてしまいました。
「前の車が行けたから、大丈夫だ」という過信は禁物です。
山本:まず、地方自治体などが公表しているハザードマップを日頃からチェックすることで、大雨の際、安全な経路を選べます。
また、天気予報を確認してから出掛ける。空模様だけではなく、河川の水位や洪水予報も調べておく。さらに、冠水場所で走行不能となり、閉じ込められてしまう緊急事態に備え、サイドの窓を割って脱出するのに役立つ市販の緊急脱出用ハンマーを購入し、車内に常備することもひとつの対策です。

山本:残念ながら今回、テレビやラジオから避難を促すアナウンスで「車で避難をしないでください」と呼び掛けたアナウンサーやL字テロップは、私が見聞きした限りではありません。
よく耳にした「命を守る行動をしてください」というアナウンスは、自宅や建物の高所に逃れる“垂直避難”を想定しているのですが、視聴者によっては、車で避難所へ向かうを選択してしまう危険な言葉です。
なぜ、地震や津波は徒歩避難を強く訴えるのに、大雨での避難については求めないのか。
大雨での車を使った避難が、人身災害につながるのはもちろんですが、放置車両を増やす結果となり、その後の復旧作業にも影響が出ます。実際千葉豪雨では、最大2800台以上の故障車が放置され、発生から5日経過した今なお正常な交通の妨げとなっています。
山本:窓を開けて運転してください。
山本:当然濡れます。でも、脱出経路は確保できます。人命第一です。もし、駅や学校などで、迎えを待っている家族と連絡が可能なら「しばらく行けない。そこにいて」と伝え、安全な建物の中で待機させてください。
冷たいようですが、助けに向かった家族が災害に巻き込まれる心配もありません。大雨に限らず、大きな災害時、「待つ」「待たせる」ことが最善の策です。(防災士記者:山本雅之)
◇まとめ
- ▼大雨によって冠水した道路を走行することは、車が動けなくなる恐れがある。
- ▼走行中、「非常に激しい雨」に遭遇した場合、危険な場所から離れて駐停車する。
- ▼外出時、大きな災害に直面した場合、安全な場所で「待つ」ことが最善の策。





