マチナカ観光・釧路川河口4橋をジグザグに渡る
北海道東部を流れる釧路川は屈斜路湖を源流とし、釧路湿原を経て太平洋に注ぐ。
全国的に珍しいダムのない一級河川としても知られ、全長154㌔をゆったりと南流する。
河口の釧路市では、最も海に近い幣舞橋が有名だが、ほかに久寿里橋、旭橋、貝塚大橋が架かっている。
盛夏の候。
観光目線で4つの橋――「釧路川河口4橋」を巡ってまちあるきした。
7月29日午後1時、曇り。
釧路市役所防災庁舎前広場で、筆者の友人でお絵描きが得意なDOKUさんと待ち合わせした。
今回の散策では、下流から上流へあみだくじ方式で移動し、貝塚大橋で折り返して幣舞橋に戻る。遊歩道などが整備されている区間では、リバーサイドを歩く。
DOKUさんは「よく車で通過していますが、歩いたことはないです。どうなっているんだろう」と想定外のテーマを歓迎してくれた。
50年を迎えた幣舞橋からスタート
まずは幣舞橋から。
民営の愛北橋が明治22(1889)年に架けられたが、9年で倒壊した。明治33(1900)年には官設の初代・幣舞橋が誕生。
以降、明治42(1909)年、大正4(1915)年と架け替えられ、昭和3(1928)年に架設された4代目で永久橋となった。
現在の橋は5代目で架設年は昭和51(1976)年。2026年でちょうど50年の節目に当たる。
橋長124㍍、幅員33.8㍍。
橋そのものはもちろん、四季の像、世界三大夕日は観光客に人気。
たもとには、「釧路の夜」と「釧路湿原」の歌碑があり、「Cool KUSHIRO」のモニュメントはフォトスポットとして定着した。

久寿里橋で見つけた釧路の産業史
河川敷右岸を北上すると5分で久寿里橋に着く。
初代は昭和12(1937)年に誕生した。昭和27(1952)年の十勝沖地震で被害を受け、その復旧工事として昭和29(1954)年に2代目が架設され、永久橋となった。
現在の橋は3代目で昭和56(1981)年の架設。
橋長113.6㍍、幅員22㍍。
歓楽街・末広と文教地区の城山・緑ケ岡を結ぶ。
目を引く特徴が二つ。
一つ目は道路からせり出したバルコニー。歩行者に迷惑をかけずに、幣舞橋を背景にした記念撮影ができる。
もう一つは、釧路の市章「星丸」と、釧路の基幹産業を題材にしたレリーフが飾られていること。題材は「漁業」「酪農・畜産」「製紙・紙パルプ」「石炭」の4種類だ。
一般的に橋には地名が付けられることが多いが、久寿里橋は釧路の旧地名「クスリ」そのものを名前にしている。
「レリーフ設置から、もう45年。まちの姿は、ずいぶん変わりました。考えさせられますね」と、DOKUさん。

旭橋の先に広がるリバーサイド
河川敷左岸を釣り客を横目に歩くと、10分で旭橋に着いた。
釧路川河口4橋の中で唯一、上り線と下り線の2本が架かっている。
橋長はともに138㍍、幅員12.3㍍。架設年は、上りが平成7(1995)年、下りが1年遅い平成8(1996)年。
材木山の手トンネル(旭橋通)とセットという印象が強いが、橋南幹線通にも通じている。
視点を上流に転じると、アスレチックゾーンと親水エリアが目に飛び込んできた。
解説ボードによると、名称は「釧路川リバーサイド左岸緑地舟着き広場」。240㍍トラック、12種類の健康器具、ボートを保管するD型ドーム「KUSHIROMARINE」もある。ちょうど舟着き場から、ボートがこぎ出していった。

河川敷を歩けるのは同広場まで。目の前にはJR橋が架かっており、川を渡る列車を見るには絶好の場所だ。SL冬の湿原号のシーズンには、大勢のカメラ愛好家“撮り鉄”でにぎわう。
初めて訪れたというDOKUさんは「ベンチがあって、散歩の際に、ひと休みできるのはありがたい。ただ、せっかくの立派な施設ですが、あまり使われていないみたいですね。釧路川のシンボリックな空間としては、少し寂しい」と語った。
歩くこと20分、折り返しの貝塚大橋へ
河川敷を後にして、橋南幹線通をひたすら歩く。
20分後、東釧路跨線橋を経由して、折り返し地点の貝塚大橋にたどり着いた。
橋長161.5㍍、幅員14㍍。架設年は昭和63(1988)年。
貝塚光和通に架かっており、東側が釧路市、西側が釧路町。釧路川が蛇行しているため、下流の橋も釧路港も見えないが「河口から4㌔離れていても、まなぼっとなどの背の高い建物は確認できます。海までつながっているんですね」とDOKUさん。疲れを忘れて、眺望を楽しんだ。

後半は、夕方から降雨という天気予報を受けて早歩き。それでも、国道44号から、川を渡るくしろ湿原ノロッコ号に手を振り、川岸でキアシシギを観察するなど、たびたび足が止まった。
最終盤では、幣舞橋~久寿里橋間の「ふれあい広場」についての解説ボードを読み込み、平時はにぎわいと交流の場、災害時には防災拠点となることを知った。


(作画DOKUさん、撮影山本雅之)
10キロ歩いて見えた4つの橋の個性
午後4時10分、釧路フィッシャーマンズワーフMOOにゴール。総延長約10㌔を完歩した。
DOKUさんは「空模様が心配だったので貝塚大橋まで歩くと思っていませんでしたが、一気に行けました。達成感がありますね」とにっこり。
ジグザグに縫うように4つの橋を渡り、DOKUさんはこんな発見もした。「街灯のデザインがすべて違いました。また、橋に備え付けてある竣工の表示によると、架設年が幣舞橋、久寿里橋、貝塚大橋、旭橋の順ということも発見しました。ぜひ、披露したいです」と語った。




橋は地域と地域を結び、人の流れをつくり、産業を育てる。釧路川河口4橋も釧路の発展のために、大きな役割を果たしてきた。
それほど遠くない将来、いずれかの橋が架け替えられれば、初めて「令和の橋」が生まれる。
調べてみよう。橋に秘められた物語、先人の思いを。
(編集部:山本雅之)





