伝えたい「蔵」の記憶(366)山下書店
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2021.2.8
北大通3丁目東側の商店街は、昭和20年7月の釧路空襲の被災から復興して同36年頃は、同21年8月に再開した平和市場と戦後店舗を開いた山下書店、村上金物店、一栄佐藤呉服店が並び、背後にある末広町の映画街と共に賑わいの商店街です。

写真は、アーケードに世界名作全集(平凡社)の宣伝広告が見える昭和36年頃の山下書店と、村上金物店です。歩道には街路樹と小さな花壇も見えます。山下書店は、山下博史さんが昭和22年北大通2丁目の元ハマノ薬局のところで開業し、同25年に北大通3丁目の現在地に店舗を移します。
山下さんは、昭和21年に復員してまもなく焼け跡に並んだ露店でオモチャの小売りを始め、その後、一年足らずで本屋を開業します。本屋を始めた同22年頃はわずかな雑誌が主で、1冊20円のリーダースダイジェスト(アメリカの雑誌の日本語版)を買うのに行列が出来るほど市民は活字に飢えていました。(わがマチの人物地図より)
戦後復興期になると山下書店には、冒険王、蛍雪時代、中学時代、主婦の友、明星、平凡などの雑誌が店頭に並び新鮮な情報を伝えます。子供だけでなく、学生や社会人の探究心を満足させる書籍が店内に溢れる様に揃えられ、市民の文化生活を支え、子供たちは雑誌の付録を楽しみにしていました。
戦後の混乱期に開業した山下書店は、活字に飢えた市民に夢を与え、学生の参考書探しを応援し、若者へ最新の情報を提供するなど、いつも市民に寄り添い、戦災から復興した北大通り商店街の記憶を伝えています。




