その他 蔵の記憶
公開:2026/03/10 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(279)丸三鶴屋増築完成

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2019.1.21

 戦後復興期の北大通り商店街は、百貨店の丸三鶴屋が中核店舗としての役割を果たしています。丸三鶴屋の戦後復興は、終戦直後の昭和20年9月に店内の焼跡整理から始まり、統制経済、物不足の中で荒廃した売場を修復改装し、3階の一部を市立博物館に提供して復興に取り組み、同25年4階を増築して戦前の規模に復します。その後の好景気により復興は順調に進みますが、同28年正月の初売りでは連日の混雑で店舗の狭さを痛感し、同年4月には増築工事に着手します。

丸三鶴屋の増築落成記念大売り出し広告

 写真は、昭和28年10月17日北海道新聞に掲載された「本日新装開店」増築落成記念大売り出しの広告です。明るく、美しく、広々とした売場、新しい装置による快適な売場と店舗全景を紹介しています。「全市待望の裡に華々しく」と宣伝して、市民と共に増築落成の喜びを共有しているようです。

 広告は、御婚礼衣裳陳列や抽選で指輪がもらえる婦人雑貨リングセール、「石炭と水、空気から作られ、鋼鉄より強く蜘蛛の糸より細い繊維」と評判のナイロンワイシャツ宣伝販売会、モロゾフなどのブランドを集めたチョコレートまつりといった最新の商品を宣伝しています。

 完成した店舗は、ガラスブロックの外装で空気調整装置と温風暖房装置を備え11人乗りのエレベーターが設置された近代的な店舗です。

 朝鮮戦争が終わり景気が後退する時期に実施された丸三鶴屋の増築完成は、復興から次代への躍進に挑戦する北大通り商店街の活力の記憶を伝えています。

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