その他 蔵の記憶
公開:2026/03/16 更新:2026/04/28

伝えたい「蔵」の記憶(471)三四十の装い

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2024.3.11

 釧路市の人口は、昭和40年18万383人、同45年19万9265人を記録して念願の20万都市へ「もう一歩」に迫った同46年。近代化した北大通商店街は、丸三鶴屋、丸ト北村などの大型店と、店舗は小さいが、特色ある品揃えの岡野絹物店、山下書店などの専門店─老舗と新店が特色を発揮して競争していました。

 昭和46年11月5日の釧路新聞に「初春の三四十(ミヨソ)の装いが染め上りました、千總・珍粋・北秀・宇野千代」と、初春に30代、40代の女性が楽しむ新作着物の染め上がりを伝える丸三鶴屋の異彩を放つ広告が掲載されました。

 「三四十の装い」は、京都と東京の特色ある染工房の作品を提案しています。「千總」は、京都室町の友禅の雄と呼ばれる老舗千総のしぼり風の優雅な格調の高い礼装用…。「珍粋」は小粋なおしゃれと下町情緒を楽しむ東京小紋。「北秀」は、京都の格調と東京の清楚な艶をにおわせる三四十のおしゃれ紅型。デザイナーの宇野千代は、独創的な昭和の感覚に若さと気品を感じさせて時、所を選びません。

宇野千代さんの小紋

 写真は桜の花びらを独創的な感覚で表現し優しさの中に躍動を感じさせた宇野千代さんの小紋です。

 丸三鶴屋が提案する三四十の装いは、日本経済の高度成長期の影響を受け女性のお洒落が多様化します。洋装はミニスカート、パンタロンがブームとなり、伝統美の着物は華やかな振袖、豪華な留袖、大島紬などのブームが続きますが、戦前戦後の物不足を体験し戦後の混乱期を逞しく挑戦した戦前生まれの30代、40代の女性が多彩な着物のお洒落を楽しむ記憶を伝えています。

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