伝えたい「蔵」の記憶(450)昭和46年門出の記憶
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2023.6.19
厳しい寒さが緩み、雪が解け寒さから解放される釧路の春3月は、小学校、中学校、高校の入学式、卒業式を迎え、高校生は就職、進学と新たな出発の準備を始めます。写真は、昭和46年3月8日の釧路新聞に掲載された広告です。
進学、就職へと新たな出発、巣立ちの準備をする人々の門出の寝具を提供する丸三鶴屋の「春の寝具大会」を宣伝しています。「実用中級品を格安に」と謳った広告は、超お買得・そして便利な一石二鳥布団袋に、掛布団・敷布団・毛布・シーツ・布団カバー・枕・布団袋・マットレスと一式そっくり揃えた寝具門出セットが1万2800円。

「東京方面・新生活に慣れた頃、毎夜悩む梅雨の暑さ、洋掛け・タオルケットは必需品です」、「5月になれば、カビが始まります」などと門出に欠かせない生活情報も伝え、「下宿先にまずご挨拶」とお土産用の釧路名産も紹介してます。
広告には、届先、常磐線上野行、品名「布団」などと書かれた細い針金が付いた鉄道荷札が見えます。当時の国鉄・私鉄で運行されていた荷物列車に搭載される荷物に付ける荷札で、釧路駅で荷物を出し上野駅で受け取ります。現在はこの制度は廃止されていますが、当時は「チッキ」と呼ばれていました。
鉄道荷札を付けた布団袋などの生活用品と、新たな出発への夢を詰め込んだ大きな荷物を釧路駅に運ぶ、わくわくした青春時代の記憶を「春の寝具大会」の広告が伝えています。
布団袋と鉄道荷札は、宅配便の無い時代の門出の記憶を伝えています。




