その他 蔵の記憶
公開:2026/03/10 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(289)挽歌の街並み

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2019.4.8

 北海道東部の不毛の湿原に囲まれ、魚の匂いが漂う小さな街釧路が、映画「挽歌」の上映により全国に紹介されます。映画に映された釧路は、ロマン漂う深い霧にむせぶ街として美しく撮影され、ゴミゴミした日本の都会と全く違う、「何処かヨーロッパの都会を感じさせた」と「挽歌」物語(盛厚三著)が朝日新聞で紹介しています。映画では、後に挽歌橋と呼ばれた塘路の植民軌道橋やまだ谷地と呼ばれていた釧路湿原、霧の幣舞橋、湿原に囲まれた釧路の街並が映し出されています。

 映画ロケは、昭和32年6月に挽歌が誕生した釧路で始まり、釧路は挽歌の話題が溢れ挽歌一色でロケ現場は見物する市民が溢れていました。

農業会館

 写真は、ロケ現場となった幣舞橋北橋詰(現幣舞河畔公園)に在った農業会館です。農業会館は、映画では建築家桂木の事務所で、階段の傍にジープが止まり、主人公玲子の久我美子と森雅之が登場するシーンが印象的です。モダンな農業会館の並びには大きな建築物の労働会館、海員会館が並び戦後復興を思わせる街並です。

 主人公の玲子が登場する繁華街は、農業会館の近くの映画館、遊技場、飲食店などが密集した賑やかな末広町、栄町です。当時は、くろんぼ、ポルカ、エダンなど喫茶店が急増しています、喫茶店「モカ」が「ダフネ」として登場して文化の香りを発信します。

 挽歌は、戦後復興から躍進都市釧路を目指す活況とロマンを感じさせる霧の幣舞橋が次代へ伝えたい釧路の文化の記憶を伝えています。

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