その他 蔵の記憶
公開:2026/03/08 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(238)北大通り露店

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2018.1.15

 戦後の市民生活は、危機的な生活物資不足と配給、衣料切符などの統制経済の影響で厳しい消費環境が続きます。「誰を恨む米無正月」と、新聞が報道した厳しい市民生活を支えたのが、戦災跡地に再建され、復興に取り組む北大通り商店街です。北大通り商店街の東側2丁目から5丁目焼跡は、バラック建て店舗が並び、歩道沿には露店が並び食料品、古着、玩具、軍隊の放出物資など生活物資を買う人々で混雑しています。

露店と買物客

 写真は、戦後の昭和20年代初めの北大通りで見られた残雪が残る季節に営業をする露店の様子です。場所は、北大通り5丁目交差点、現在のセブンイレブン側の横断歩道のある路上です、戦災を免れた北大通り6丁目東側の菓子店千秋庵、和田写真館、北大通り郵便局が見えます。路上に板を並べた簡易店舗の売り台の上に並べた商品を陸軍の防寒帽子を被る男性が買い物を物色しています。

 男性の後ろにも露店が見えます。売台の上と男性の肩に、商品の運搬に使用する竹を組んだ「御用籠」が見えます。露店が並び買い物客で混雑する通りを、長靴を履き和服用の防寒着「角巻」の中に子供を背負い買い物をする女性の姿は、混乱する戦後の生活を支える女性の逞しさを感じさせます。

 幣舞橋から釧路駅迄の各所に見られた北大通りの露店は、混乱期の市民生活を支える魅力的な商店街でしたが、零細な商店の露店は食糧危機、新円切替など戦後の混乱期を逞しく切り拓いています。

 奮闘する北大通りの露店は、市民生活の苦難と逞しさの記憶を伝えています。

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