その他 蔵の記憶
公開:2026/03/08 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(213)昭和18年を憶ふ

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2017.6.5

 戦時経済統制、配給統制の強化により市民生活は、生活必需品が不足して耐乏生活を余儀なくされます。釧路市史に記載された昭和17、18年の生活必需品の配給に関する通達の記録を見ますと、回数が非常に多く、少ない生活必需品の配給に苦労する戦時の市民の消費生活の苦難を伝えています。乏しい商品の配給統制により、商業活動本来の機能の自由競争が制限され、商人の苦悩と受難時代を迎えます。

 戦時の商人の苦悩と受難を丸三鶴屋の創業者両角栄治さんが、著書「落葉」で伝えています。

 時局に付いて、「今や大理念に基く大東亜建設の偉大なる鴻業に巨歩を進めて居るのである。外には陸海空の皇軍将兵肉弾以て敵に当たり、内は国を挙げて命懸けの戦力増強に日も之足らざる現状あるが、…戦局の上に相当深刻なる変化を招来…」と緊迫した国内決戦強化体制へ進む情勢を伝えています。

両角栄治翁寿像

 国民生活の様子が一段と変化することが予想される情勢での百貨店経営は、「過去の観念を払拭し、必需物資取入れ配給の適正を使命として、昔日の経営とは確然たる相違が無ければならない」と時局に対応して市民生活を支える百貨店の果たす役割を述べ、「仮令何事があろうとも…幾多玉砕英霊の尽忠を深く胸に刻み凡ゆる犠牲を忍び困苦欠乏に堪へ、眼前の国難を突破し祖国の安泰に置き子孫のため昭和の祖先は斯くありたると伝うべきである」と商人の決意を述べています。

 両角栄治さんの「昭和18年を憶ふ」は、緊迫が増す戦時に挑戦する商人の気迫を伝えています。

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