その他 蔵の記憶
公開:2026/03/07 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(182)テンセントストアー

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2016.8.29

 不況が深刻な昭和7年申年の釧路新聞の歳頭所感に、「猿の如く軽快に、猿の如く敏捷に活動をして混沌を一掃す、商人は斯くする事により商率倍加す」と述べ閉塞感の打破に挑戦する姿勢を示しています。

 中心市街地の西幣舞商店街、飲食店の新聞広告を見ても申年を意識したのか新しい動きが感じられます。

 昭和7年4月21日釧路市の「見聞雑記」に、京阪方面で大流行のテンセントストアー(十銭均一店)が西幣舞の栄喜前市場内に開店したと書いてあります。当時の十銭は、現在の180円に相当し、テンセンストアー(十銭ストアー)は、大阪の高島屋が昭和6年に開店し不況時代の成長商法として全国的に広まり話題になります。日本語の十銭を英語のテンセンに読み替えた斬新なネーミングが顧客の心理を刺激し、買い易さを売り物にした現在の100円ショップに似て、京阪方面で好評を博し短時間で釧路に登場しています。

丸三鶴屋の月末セールス広告

 写真は、昭和7年1月29日釧路新聞に掲載された、お得を強調した丸三鶴屋の犠牲大奉仕の月末セールスの広告です。広告の中に目立つ枠組みで人気の鶴屋名物十銭百貨店(テンセン百貨店)を宣伝しています。高級品のイメージの百貨店が十銭の洋品雑貨、小家具、家庭金物などを豊富に揃えた商法は、消費者に大きな刺激を与え消費動向に即応した販売戦略を軽快、敏捷に実践する強い意欲が感じられます。

 丸三鶴屋の広告を見ますと、銘仙大会五円均一、土日限定の食堂奉仕、奉仕特売と夜間営業など斬新な企画も打ち出し混沌一掃に挑戦する活力を感じます。

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