暮らし 防災
公開:2026/08/19 更新:2026/08/20

大雨対策(下)【続・釧根防災チャンネル】

問答企画―自宅を守ろう!

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大雨による被害は毎年、日本列島のどこかで発生しています。釧路でも起こりうることです。少しでも被害を減らす対策を防災士記者・山本雅之に2回に分けて聞いています。前半は「車の弱さ」を知りました。後半は「自宅を守る」方法を聞きます。そもそも、「自宅を守る」とはどういうこと?

山本:地球にそのつもりはないのですが、構図としては「籠城戦」です。自宅を味方の城と見立てると、台風や爆弾低気圧、線状降水帯は押し寄せる難敵です。大雨、暴風、落雷によって攻撃してくることもあります。低気圧の規模や自宅周辺の地形によっては道路冠水、洪水、土砂崩れなど、より深刻な事態を引き起こします。

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令和8年8月千葉豪雨では、住宅被害についての話題が多く感じます。浸水によって、壊れた家電や劣化が進んだ畳、泥で汚れた思い出の品々が室外に運び出されて、処分される様子を見るのは胸が痛みます。

山本:内閣府の発表によると、住家被害は17日現在1541棟で、今後2000棟を超える見通しです。内訳は全壊と半壊を含む床上浸水以上の被害は722棟で、床下浸水は790棟で五分五分。一般的に、大雨による住家被害は、河川のはん濫が発生しないかぎり、床下浸水7割、床上浸水3割の割合なので、今回の千葉豪雨の被害は過去の類例よりも深刻だと言えそうです。

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床下浸水と床上浸水って、よく聞くよね。

山本:床下浸水は住宅の基礎部分までの浸水で、床上浸水は住宅の床の上に浸水することです。国土交通省のホームページ「川の防災情報」によると、一般家屋で浸水が50㌢未満の場合は床下浸水50㌢以上になると床上浸水する恐れがあるとしています。参考として浸水深を示すと、50㌢は大人の膝まで、1㍍は大人の腰まで、2㍍は1階の軒下までに達します。

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床上浸水で、自宅に汚れた水が押し寄せてくるなんて想像したくないね。一方で、床下浸水と床上浸水の境目、分岐点は50㌢ということも分かったよ。事前の対策で、被害を減らせそうなヒントがある気がするよ。

山本:その通り。自宅を密閉し浸水を防げれば、家を含めた財産を守り、日々の暮らしを維持できる可能性が高いです。事前にできることを列挙していきます。

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籠城戦の準備だね!

山本:まず、自宅で浸水の恐れのある場所を確認します。玄関、勝手口、窓、さらに車庫やガレージ、物置など。それぞれにあった浸水対策を準備、購入しましょう。止水板や土のう、水のう、防水シートは、浸水を防ぐ「砦」となります。玄関や窓のすき間を防水テープでふさぐことと組み合わせれば、より高い防御が期待できます。
特に、土のう1㍍四方を積み上げることは、大人でもたいへんですが、防水テープを張り巡らせることは、小さな台があれば子供でもできます。自宅周辺の水位をハザードマップで確認することも、浸水対策、その後の避難の一助となります。

土のうづくりは、1人ではなく2人以上で行うと効率がよい(写真は、標茶町総合防災訓練)
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天気予報で大雨の予報を耳にしたら、早速、作業に取りかかろう。

山本:自宅の対策を講じる前にやることがいくつかあります。大雨に加勢してしまう、屋外の「伏兵」をつぶしましょう。具体的には、自宅周辺の落ち葉やごみの掃除、雨水ますの点検、屋根や壁、窓ガラス、窓枠、雨どいなどの破損がないかの確認、家の基礎の換気口を塞ぐ、屋外の植木鉢などを室内に入れる―など。乗用車や二輪車などの愛車を立体駐車場などの高さのある安全な場所に避難させることも必須です。

側溝にたまった落ち葉は道路冠水の要因のひとつ。大雨の前に掃除、回収を
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先に、自宅の回りをきれいにする。敵に備えて「外堀」をつくるみたいだね。

山本:屋外の対策が終わったら、いよいよ浸水対策です。土のうを敷き詰め、防水シートや防水テープですき間をなくします。机や段ボール、ビニール袋、ポリタンク、紙おむつなど、自宅にある物品は何でも使う気持ちで取り組んでください。

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出入り口はOK。ほかに見落としやすいこと、落とし穴はないかな。

山本:忘れやすいのは、下水の逆流対策。周囲の水位が急激に増えると、下水の逆流、内水氾濫に見舞われます。トイレや台所、風呂場、洗濯機の排水ホースの先などに、ビニール袋に水を入れるだけでできる水のうを置けば下水が噴き出るのを防げます。床下浸水した場合に備えて、床下収納のフタの上にも重い物や水のう、土のうなどを置いてください。最後に、どれだけ対策を講じても床上浸水することはありえます。貴重品や高価な家財を2階や棚の上に移し、被害を最小限に抑えましょう。

簡易土のうのアイデア。水を入れたポリタンクをレジャーシートで巻き付ける。玄関の止水で威力を発揮
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自宅周辺から、出入り口、排水口まで、徹底的に対策を講じ、大事な物品も上層階に運ぶ。あとは、避難所に向かうだけだね。

山本:内閣府は警戒レベル3、市町村が発令する「高齢者等避難」の段階までに、全員が避難の準備を整えるよう求めています。裏を返せば、自宅の浸水対策は警戒レベル2、気象庁による氾濫注意報、大雨注意報などの発表までに完了しなければなりません。短時間で「自宅を守る」態勢を構築するためには、日頃の訓練が不可欠です。9月1日は「防災の日」。ぜひ、実践してみてください。(防災士記者・山本雅之)


◇まとめ

  • ▼自宅周辺の掃除と点検をしてから、自宅そのものの浸水対策を講じる。
  • ▼何としても床下浸水で食い止める。あらゆる物品を駆使し、自宅を密閉する。
  • ▼下水の逆流や内水氾濫にも留意。貴重品などは上層階へ避難させる。
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