その他 蔵の記憶
公開:2026/03/02 更新:2026/03/30

伝えたい「蔵」の記憶(58)図書館―開館

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2013.10.28

 幣舞町の始まりは、明治18年の釧路郡役所ですが、その後官庁街と呼ばれて釧路の行政の中心となります。現在は生涯学習センター「まなぼっと」と市立図書館が並び、多くの市民が集まる釧路の文化中心の街です。

 明治45年4月5日の釧路新聞に「図書館開館式」の記事が掲載され、開館の辞並びに設立の経緯が伝えられています。記事の中に、当時の人たちの図書館開館への思いが伝えられています。記事は「1国1地方の興隆は物質的設備と精神的設備とがあいまって成るが、然るに最近は物質的のみ進んでいるが、精神的方面は閉却の観がある。新開地の本道特に当地方に見られるので精神的物質を改善しなければならない時期であったが、機会が無かったが、明治44年の皇太子殿下巡啓を好機として、その記念事業として図書館の設立をした」と図書館開館の趣旨を掲載しています。

明治45年4月5日釧路新聞に掲載された記事

 明治末期の釧路は、道東の拠点として、漁業、木材の活況により開拓移住者を受け入れ、人口の急増、市街地の拡大と目覚ましい発展を遂げていましたが、先人は将来の釧路のためには経済と文化が必要であると感じていたようです。

 図書館は、経済優先の時代に釧路町民の協賛資金と書籍の寄贈、町からは公会堂建物の一部の無償貸与と各方面からの応援で開館しました。幣舞で開館した図書館は幣舞町で釧路市民の文化生活を支え続けています。開館当時の先人の思いと図書館が伝える記憶は、約1世紀たった今も幣舞町の市立図書館に受け継がれています。

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