その他 蔵の記憶
公開:2026/03/01 更新:2026/03/30

伝えたい「蔵」の記憶(2)蔵

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2012.7.30

 最近ではあまり聞くことが少なくなった「くら」という字には「蔵」「倉」「庫」が当てられていますが微妙に違い、それぞれの使用目的により字が使用されています。貨物、商品、家財などを火災、水害、盗難などから安全に保管、貯蔵する目的で造られた建物で、人々の生活を主役でなく脇役として陰から支えています。

 特に「土蔵」は、木造の骨組み(柱、梁)で造った建物の壁に、土やしっくいで厚く塗り固め、高度な職人の技と資材を使い、完成まで3年ぐらいかかる高価な建物です。防火、防犯に優れ、また耐久性の高い建物は、木造家屋が多く防火、耐火構造の建物が少ない時代には、地震、雷、火事の災害への備えが将来を左右する条件でした。

 明治時代の真砂町大火の記録を見ますと、焼跡に残った建物は土蔵だけで、中に収蔵された貴重な財産を守り、大望を持って未開の新天地に移住した人たちの再起に夢をつなぐのが土蔵でした。

 耐久性に優れた土蔵は、室町時代から豪商が造り始め、江戸時代に建築された土蔵も全国各地に見られ、伝統的な技術や人々の生活文化として、後世に長く受け継がれている建物です。

 釧路地方に唯一残された佐々木米太郎商店の土蔵にも、釧路市民の多くの人々より伝えられた文化、生活の遺産があり、私たちは「蔵」の記憶を後世に伝える義務があり、使命でもあります。

なつかし館として再生する前の荒れ果てた佐々木商店の土蔵

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