編集部コラム「甘い北海道」

北海道の食文化は甘さに満ちている。
今さら何をという話ではあるが、あらためて並べてみると壮観である。
赤飯に甘納豆というのはもはや全国的にネタとして鉄板だし、茶わん蒸しは甘い、卵焼きも甘い、そばつゆが甘い、漬け物も甘い、カボチャは甘く煮ておかずにして食べる。隠し味程度のレベルではない。堂々と甘い。
道東ではフレンチドッグに砂糖をまぶし、トマトに砂糖をかけたり蜂蜜漬けにしたりする人も多い。甘い缶コーヒーを好むのも道民が多いと聞く。
納豆に砂糖という愛好家も一定数あると聞き、一度試したことがある。小心者なので中和剤のきな粉を足した。大豆同士、相性だけはいいはずだ。
ビジュアルは決して美しいものではなかったが、味は悪くなかった。ただ、ごはんは全く進まなかった。
ならば豆腐にもきな粉が合うのではと、冷や奴にきな粉・黒蜜をかけて食べてみたところ、ちょっとしたデザートの新境地を垣間見た。
もっとも、きな粉や黒蜜を常備している家庭ではないので、よっぽどのことがない限り二度目はないと思う。
こうなると、白いご飯に砂糖をかけるという話を聞いても「ふーん」である。
ゲテモノ食いだと糾弾の声が多いようだが、だいたい、おはぎだって同じ仕組みではないか。「米と餅は違う」と熱弁を振るわれても、広義では同類項だ。おはぎは良くて、白飯に砂糖はいかんのか。ただし、「なにそれおいしそう!」というチャレンジ精神が一切湧かないのは確かだ。
自分が甘い文化にずぶずぶに浸っていると気付いたのは、玉子豆腐を初めて食べた時にさかのぼる。正直な感想は「なにこれマズイ」であった。(北海道的な)茶わん蒸しの玉子部分を期待していたのに、口の中に広がるのは出汁の香りと尖った塩気のみ。
もちろん各家庭の好みもあるだろうが、菓子だろうが料理だろうが何にでも砂糖を足す行為は、全国共通ではないと知ったのである。
北海道を旅行した観光客が道民の人の良さに感動した話は少なくない。
ただし、道民の側に人に親切にしている自覚があるかというと、多分ない。ただのおせっかい焼きが多いだけだ。
「赤飯に甘納豆」が驚くべき異文化と指摘されるまで、それを普通の赤飯だと思っていたのと同じかもしれない。外から見て初めて、甘さは甘さとして見えるのだろう。
北海道は独特の食文化とともに、人に対するほんのりとした甘さも持ち合わせているのではないだろうか。
なお、北海道では味付けが薄いことも「甘い」と言う。
味覚の甘さは大いに歓迎だが、詰めの甘さには気を付けたい。(ごめのすけ)




