その他 蔵の記憶
公開:2026/03/14 更新:2026/04/24

伝えたい「蔵」の記憶(417)北大通商店街の仮店舗

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2022.5.30

 北大通商店街は、都市改造事業による店舗の新築、改築に踏み切ることで営業の継続が大きな課題となります。商店が密集する北大通商店街の近隣の空き地、建築中の店舗の小さな空き地の利用など、仮店舗の確保に知恵を絞り、顧客へのサービスの向上に努力しています。

建築工事中の6丁目ビルと千秋庵ビル

 写真は、昭和45年の北大通6丁目東側で建築工事中の6丁目ビルと千秋庵ビルで、ずらりと仮店舗に掲げられた看板が目立っています。手前には5丁目西側のヤスモト金物店と丸善伊藤商店の共同ビル予定地も見える、北大通5丁目交差点の光景です。千秋庵の以前の店舗は、昭和12年に建てられたヨーロッパ風の建物で、北大通の名物店舗でしたが、工事中の新しい店舗も話題となりそうな近代的な店舗に見えます。左側に「千秋庵」の大きな看板が見えるプレハブの仮店舗。戦災を免れた戦前の店舗を取り壊し、共同ビルを建築中の6丁目ビルの前にもプレハブの仮店舗が並びます。

 昭和7年創業の大谷時計、戦前から子供達の夢を叶えてきた玩具老舗の白川商店、大正13年創業の三宅カバン店などの看板が見えます。これら仮店舗は狭い空き地を利用した狭隘(きょうあい)の店舗で、なんとか顧客の信頼に応える営業を継続しようとする商店街の商魂を感じさせています。

 北大通は都市改造事業の進展によって、街路も拡幅され、耐火構造の店舗、小規模店舗の協業化など近代化が進み、その商店街の変貌ぶりは発展する青年都市釧路を象徴しています。その中で変貌する北大通商店街の仮店舗の姿は、これまでに培われた顧客の信頼に応えながら新鮮な情報により計画された新しい店舗に将来の夢を託す北大通商店街のバイタリティーの記憶を伝えています。

前「変わる北大通商店街」    次「北大通の新店舗」

TOP