伝えたい「蔵」の記憶(229)史跡・名所釧路
2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。
2017.10.9
終戦の混乱が続く昭和21年1月1日の北海道新聞は、平和、民主主義、新日本建設の記事が見られ、新しい時代へ力強く復興へ取り組む様子を伝えています。
その記事の中に、中野重治の「日本文化の再建と創造」と船木晃の「嵐に起つ新文化」などの日本文化の再建に関する記事が目に付きます。危機的な食糧難の中で文化国家建設は、敗戦の現実に即した新時代を模索する逞しさを感じます。同じ紙面に、「釧路綜合文化連盟生まれる」の記事が掲載されました。設立主旨は、「文化国家建設こそ災禍の国民に課せられた最大の使命であり、道東の文化創造に寄与する」と述べています。1月27日、日本キリスト教会で発会式が開催され、我らの郷土釧路の文化向上に取り組みが始まります。

写真は、昭和22年9月5日釧路観光事業社発行、片岡新助著「史跡・名所釧路」です。序文では、過去10年間褪色した文化運動が近時漸く復興の機運にあることを心密かに喜んでいると述べ、復興と出版の自由を歓迎しています。
「史跡・名所釧路」は、湿原の作品を描いた佐々木栄松さんの装幀挿絵と釧路博物館館長として活躍した片岡新助さんの文章です。出版を企画した釧路観光事業社代表者は佐々木栄松さんです。釧路の史跡と名所を、挿絵と文章で解説し、英語文でも解説し、褪色した文化運動を取り戻す様な新鮮なアイデアと、意欲的な企画は活力に溢れ、戦後の苦難に挑戦する姿勢に感動します。
史跡名所釧路は、郷土釧路の文化向上の取り組む戦後の混乱期の文化運動の記憶を伝えています。




