その他 蔵の記憶
公開:2026/03/06 更新:2026/04/23

伝えたい「蔵」の記憶(152)西幣舞のチラシ

2012年から釧路新聞・文化欄で連載された木村浩章さんの「伝えたい「蔵」の記憶」を全回数分デジタル掲載します。屋号などの特殊文字については仮名表記に修正。見出し、本文、写真につきましては掲載当時のままとさせていただきます。

2016.1.4

 西幣舞商店街は、鉄道の延伸により急速な発展を遂げ、大正13年の幣舞橋仮橋が架橋された頃には、中心市街地が橋北の西幣舞へ移る兆しが見えます。西幣舞の発展は、5回の大火と大洪水の被災、大戦後の不況などの苦境に挑戦した先人の活力によります。

大正時代に発行した折り込みチラシ

 写真は、「七十年歩み丸ト北村」に掲載された大正時代に丸ト北村呉服が発行した折り込みチラシです。

 折り込みチラシは、近代文明をえる宣伝広告として大正時代に登場し、語源は「紙を散らして宣伝をする」との説もありますが、江戸時代から続いた「お客を引く」「引き札」と呼ばれた宣伝広告に代わり登場した大正時代最新の広告です。

 丸ト北村呉服は、明治39年人家もまばらな西幣舞で古着屋を創業し、2回の大火に被災しながら逞しい商魂により西幣舞の有力呉服店に成長しましたが、大正時代の厳しい景況に対処する為に新しい宣伝「チラシ」で顧客の関心を引き付けた様です。

 チラシを見ますと、太文字で「新荷着大売出し」「七月一日より五日迄五日間粗景呈上」「見切反物友禅モス沢山」「西幣舞橋通り丸ト北村呉服」と売り出し内容を伝えています、薄利多売が看板の丸ト北村呉服の広告に商品情報だけで価格情報が在りません。当時の顧客サービスは、商品入荷、季節商品などの品揃え情報が必要としたようです。丸トの創業者北村藤吉さんは、不況に時に低額の福袋、反物の切売りなどでトは安いと評判になり良い結果となった、と回顧しています。

 折り込みチラシは、北村藤吉さんの先進的な商いへ挑戦する活力の記憶です。

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